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心の穴

 心の中にぽっかり穴があいてしまうことがあります。
 恋人と別れたとき、ペットが死んでしまったとき、仲の良かった友達が遠くへ行ってしまったとき……。
 いつも過ごしていた当たり前の時間が突然なくなってしまうと、とても不安になります。自分だけ世界から取り残されてしまった気になります。何もする気が起きないし、そのくせ時間が流れていくことに焦りを感じることもあります。
 そんな状況からどうやったら抜け出すことができるのか。
 人間って、心の中にコップがあると思うんです。小さな辛いこと、怒り、寂しさは、そのコップに捨てることによって乗り越えることができます。しかし、大きな出来事にぶつかると、そのコップが溢れてしまう。そうすると心に穴があいたような気分になるのだと思う。
 そのコップにたまった水って、黙っていても無くなりません。また一度コップがあふれてその水の存在に気がつくと、その水が無くならない限り、心の穴はふさがらないんです。無理にプラス思考になったり、楽しいことをしてみても、気はまぎれるかもしれませんが、それは逃避に過ぎません。
 辛いけど、その水を飲み干す、味わいつくすのが一番の近道だと思うんです。
 ウジウジした気持ちになってしまったら、とことんウジウジしてみる。泣きたくなったら涙が枯れるまで泣いてみる。怒っているなら車の中でとことん悪口を言ってみる。
 安易な癒しや慰めに頼るのではなく、無意識の叫び声に耳を傾けてあげて下さい。ちゃんと受け止めることができれば、無意識はもう叫ぶ必要がなくなるかもしれません。

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