35歳を過ぎた頃から
35歳を過ぎた頃から、「あぁ、人生がもう半分終わってしまったんだなぁ」って思うようになりました。
もっと若かった頃は、上手く行かないことがあっても、手に入らないものがあっても、そういうのは時間が解決してくれるものと、純粋に信じていました。
人生は、いくらでもやり直しがきくものだと思っていました。
しかしここ数年、このままずっと上手く行かないのではないか、一生手に入らないのではないか、そして、もうやり直しはきかないのではないかと感じることが多くなりました。
こういうことを書くと、後ろ向きだと感じる方もいらっしゃるかもしれませんし、「人生に、遅い、などというものはない」という考え方は僕も大好きで、何歳になっても、新しくチャンレンジすることはできると思っています。
ただ、それとは別に、どうしようもなく失ってしまったものや、どうしようもなく得られなかったものに対し、どうやって折り合いをつけていくのか真剣に考えることは、幸せに老いていくために必要なことだと思っています。
だからこそ、一日一日を大切に生きましょう……、などという、白々しいことを書く気にはなれません。
誰もが、生まれたての魚みたいに、ピチピチと生きていけるわけではないからです。
今、マロンがウニャウニャ言いながら僕の近くにやって来て、こちらをずっと見つめています。
マロンを観ていて思うのですが、猫は人間よりもずっと、生きる意味を知っていると思います。
そしてそれが何なのか、一生懸命、伝えようとしているのに、僕は馬鹿なので、全然読み取れないのです。
一日でもいいから猫語を話せたら、何を言っているのか解るのに。
そして、生きている意味が解るのに。
マロンをぎゅっと抱きしめていると、許されている気がして、もう少しこのまま生きてみようって思います。